「自宅サロンて最初のうちは収入がほとんどなくても、開業届を出さないといけないの?」
「開業届を出さないまま、すでに自宅サロンでお金もらってるけど大丈夫かな」
「開業届を出したら夫の扶養から外れるの?」
自宅サロンを始めたいと考えている主婦なら、一度は不安に思ったことがあるのではないでしょうか。
なぜなら「開業届は青色申告するなら必ず出す」という、収入がある起業家向けの情報がほとんどで、収入が少ない主婦の話は出てこないから。
このような不安をお持ちの起業しいたい女性のために、開業9年目の私の経験をもとに回答をまとめてみました。
自宅サロンを開業する主婦が知りたい「開業届」の疑問5つ
起業したら必ず「開業届」を提出する?
開業するうえで主婦も「開業届」は必要なのか。
結論から言うと「開業届」の提出は必須ではありません。
開業届を出しても出さなくても自宅サロンをオープンすることは可能です。
「開業届」を出さないからと未届け営業?で訴えられることはないですし、罰則を受けることもありません。
「開業届」はこの事業で利益を出して納税しますよと税務署に伝える手続きです。
「開業届」を出したらあなたは「個人事業主」として、継続して自分の事業で所得を得て税金を納める人と税務署に認識されます。
しかし、「開業届」を出さなくても一定の所得があれば税金を納めるのは義務です。
税金は所得で判断するので「開業届」を出しているかは無関係。「開業届」がなくても確定申告(特別控除のない白色申告)は可能です。
予想外にたくさん売上があったのに税務署に申告していない場合、無申告可算税が課されます。早めに自主的にごめんなさいしたほうがいいですよ。
期限後申告をしたり、所得金額の決定を受けたりすると、申告等によって納める税金のほかに無申告加算税が課されます。
No.2024 確定申告を忘れたとき | 国税庁
「開業届」を出さなければ青色申告もしなくていい?
「開業届を出すと青色申告が受けられる」という情報を、自分に都合のいい解釈にしていませんか?
私は開業届を出していないから、青色申告もしなくていいのよね?とか。
青色申告って帳簿がむずかしい(複式簿記)でしょ。「開業届」出してなければやらなくてもバレないんじゃない?とか。
開業届に関係なく所得金額に応じて確定申告はしてください。
所得税は、年収ではなくて年間の事業所得に対してかかる税金。ここでいう所得とは、総収入から経費を引いた金額です。
すべての人に基礎控除が48万円ありますから、年間所得が48万円以下なら申告の必要はありません。
(2019年までは基礎控除が38万円でしたが、2020年4月1日より改正され48万円です)
2014年度分から白色申告も帳簿付けが義務付けられていています。
最初は収入がなくても、自分で1年間の収入と経費を記録しておかないといざというときに困ります。
私は当時小学生だった息子の使いきれない5ミリ方眼ノートに、開業前にかかった金額を書きレシートを貼ってました。記憶はあてにならないので記録を残しましょう!
自宅サロンが順調にいってから「開業届」を出してもいい?
自宅サロンをオープンしてすぐに利益は出ない。順調にいってから「開業届」を出しても大丈夫かな?
「開業届」を提出せずに自宅サロンを開業して、収入が増え順調にいって青色申告にしようと意思が固まってから提出してもいいと思います。
事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出してください。
個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
このように開業から1ヶ月以内に提出してくださいと書いてありますが、1ヶ月以上経ってからの提出も可能です。
私の場合、自宅サロンをオープンしますとブログを書き始めたのは5月3日でしたが、区切りが良いので開業日は5月1日にしています。
実際に「開業届」を提出したのは半年後の11月8日でした。
1ヶ月以内に提出しなかったから罰せられるとか、説教されるなんてこともありません。提出せずに様子をみてからでも大丈夫ということです。
あまりにも過去の開業日だとなんて言われるかわからないので、迷ったら税務署に相談してみるといいですね。
「開業届」を出したら扶養を抜けなければいけない?
個人事業主でも事業所得(収入ー経費)が少なければ扶養に入れます。
この扶養に入れるとは「税金の扶養」です。「配偶者控除」と「配偶者特別控除」って聞いたことありますよね。
「配偶者特別控除」は夫の年間所得が1000万円以下で、配偶者の所得金額に応じて適用されます。
年間の合計所得金額が48万円超133万円以下(平成30年分から令和元年分までは38万円を超え123万円以下、平成29年分までは38万円を超え76万円未満)であること。
No.1195 配偶者特別控除 | 国税庁
「税金の扶養」は妻の所得が増えると、夫の税金に影響が出ます。
もうひとつは年金や健康保険の「社会保険の扶養」です。健康保険はご主人の会社の規定を必ず確認したほうがいいです。企業独自の家族手当なんかもチェック。
「開業届」の提出のみで扶養から外れる会社もあるそうですよ。どんなに夫婦の会話がなくても(笑)家族に内緒で開業届を出すのはやめましょう。
「社会保険の扶養」は妻の所得が増えると、妻の社会保険料に影響が出ます。
「開業届」を出さないデメリットって?
「開業届」を出さないまま自宅サロンを開業することは可能とお話ししてきました。青色申告のように税金の特別控除がないだけで問題はありません。
では、「開業届」を出さないでいるとデメリットはあるのか?
私がいま思いつくものをあげると、「あなたが事業をしている」という証明がなにも残らないということです。
自宅サロンを開業しているとあなたが言ってるだけ。
事業用にクレジットカードを作るときや、子供の保育園入園手続きの証明に必要だったり。
コロナで支給された持続化給付⾦(事業所得者向け)などの助成が受けられないですよね。
逆に、開業届を出すデメリットは、必ず確定申告が必要なことくらいでしょうか。
「開業届」は自分の意思で決める
自宅サロンを開業する主婦が知りたい「開業届」の疑問を5つまとめてお伝えしました。
「開業届」を出すのか、青色申告をするのか。家族と相談してどれくらいの所得を考えるのかは、すべて自分の意思で決めてください。
確定申告をする際、青色申告の方がメリットが多いと薦められて、結果的に「開業届」を書くように言われるかもしれません。出しちゃったなら覚悟を決めてがんばりましょう。
家計簿をつけない私が会計ソフトを使って青色申告してるんですから、人間やればできるものです。
めんどくさいことを避けて、自分が損をしないことばかり考えてる事業主が上手くいくとは、私は思えないんですよね。
個人事業主は自由なことが多い反面、責任はいつも自分にあって取捨選択の連続です。それでも家族の予定に振り回されてる主婦生活より楽しくて充実しているので後悔してません。
ぜひ、「開業届」を出して積極的にチャレンジして欲しいなと思います!